2022年1月2日日曜日

 昨年末は人生で初めて1週間の入院生活を経験した。

痛みと戦い、毎日涙した。

そして白衣の天使って本当に存在するんだなと

看護師の方の優しさにも触れた。

家族や友人、職場のスタッフにも支えられ、仕事復帰をする事ができた。

いつもはリハビリテーションを行う側であるが、健康でなければ仕事はできないなと改めて感じた。

病院の外に出て空気を吸えたり、日光に当たることをご利用者様が喜ばれる気持ちが体感できた。

ベッドで寝たきりの状態から少しずつ動ける喜び。

自分で自分の身の回りの事ができる喜び。

当たり前の事が当たり前にできる喜び。

辛かった分、たくさんの喜びを味わった。

この経験を無駄にせず、自分の体を大事にしながら、

ご利用者さまに寄り添える作業療法士になりたいと改めて思った。





蝋梅

 通所利用者でお花好きな方に、祖母の庭に咲いた素心蝋梅の話をした。

すると、素心蝋梅を庭に植えたいが、何度種をまいても芽が出ない…と言われた。

その話を別の花好きの通所利用者にすると、自分の庭に落ちた素心蝋梅の種を持ってきてくださった。

その種を困っていた利用者に、植え方や時期をワードで作成したものを印刷し、種と共にお渡しすると、大喜びされた。

好きな物が繋がる、作業の連鎖。好循環。

このような出来事に触れると、作業療法を好きだなと感じる。

これからも好きを大切に、過ごして行きたい。









2020年6月5日金曜日

今この時

数ヶ月ぶりに施設の中から利用者さんと外へ。

「やっと人間になれた気がする」

この一言が胸に突き刺さった。

野菜作りが大切な作業だった方で

風や光を肌で感じるのが好きだと

話してくださった。



今しかできない事

今だからこそできる事

今だからできない事

たくさんあるなかで

日々は過ぎていく。




今この時

自分は何ができるか

改めて考えさせられた瞬間だった。





2019年3月9日土曜日

約束

超高齢の入所者との約束。

「私が死んだら、冥土のみやげに
おだまきを持たせてね」



茶道、華道、川柳、手工芸
いろんな事に興味を持ち、
人生を振り返っては
「あ〜楽しかった。」とさっぱりとした笑顔で話す素敵な方だった。


今までノートに書きためてきた川柳をリハビリテーション時にOTに読み上げ、
OTがパソコンに入力していく作業を一緒にしてきた。



天気が良い日は一緒に散歩に出かけ、押し花作りを行った。



雨の日は室内で運動をした。



ADOCで面接をして、いろいろ出てきた大切な作業。
それらを担当スタッフとも共有して関わった。



川柳の本のタイトルは「おだまき」



約132ページにもわたる作品集となった。



句のレイアウト、最後の句、あとがきなど、構成を一緒に考えた。


「自分が生きてきて、どんなことを感じ、どんなことを日々想って過ごしてきたか。
それを形にしてあの世に行きたい。」








「おだまき完成させますからね」と言い、にっこりと微笑んだやり取りが最後となった。



頭元におだまきを置き、お礼を言って部屋を出ると、なんとも言えない感情が押し寄せた。


出逢いに感謝。


この方を通して学んだ作業療法を胸に、
来年度からも頑張ろう。

2015年3月12日木曜日

作業の種まき

以前の趣味は、三味線、踊り、歌という情報があったが、覚醒が低く、中々話すことができなかった入所利用者。

先週の土曜日、やっとお話ができた。

三味線や踊りの動画を見せると、あんたのおかげで思い出してきた!」といわれ、踊りや三味線の弾くまねをされる。


「盆踊り、やりおったで〜。

盆踊り踊って踊ってま〜た踊って、ま〜ほんに、よ〜踊ったわ。

今思うと、よ〜踊ったと思うわ。

踊りが好きだ。

ほんに輪になって踊りよったで。」


三味線のことを聴くと

「三味線を…あの…」といいながら、手で弾くまねをされ、

「今もっちょら…あの…弾くよ。

ま〜この頃弾かんけんな…

タンタンタンタンテットンシャン♪ハイッ♪…

弾きよったわ、ほんに。

もうな〜何の時だっただ〜か…」


最後は

「一緒に2人でステージでやらか!おもしょからぞやな〜!」

と笑顔でいわれる利用者さん。


この作業のストーリーを紡ぎ、その人らしさに触れたとき、

作業療法士になってよかったという大切な気持ちが改めて芽生えた。

そして、この方の大切な作業をチームで共有。

もう一人の担当OTに伝えると、「民謡や三味線の動画をみせたら、安来節を歌ってくれた」と話してくれた。

担当介護福祉士に伝えると、家族に三味線を持って来てもらえるか聴き、踊りや歌もできるときに声をかけてみると話してくれた。




老健に就職してから4年間くらいずっと一人で苦しんでいた。

素敵な作業療法士さんとの出逢いがあり、

作業選択意思決定支援ソフト(ADOC)を用いて面接を行ったことがきっかけで、作業療法の楽しさを知った。

同じ想いの後輩が入り、一緒に利用者の大切な作業に焦点をあてて関わることの楽しさを知った。


一人でできることはほんの少し。

でもチームで想いを共有して関われば、利用者にとってハッピーなことがたくさん起こる。

約2〜3年で自分が、そしてチームが少しずつ変わってきた。


作業の種をまく。

みんなで水やりをしていくと、

やがて芽が出て 膨らんで 花が咲く。



4月から臨床にでて7年目。

日々楽しい事ばかりではなく

辛くて不安や孤独を感じたり

自分の居場所はここにあるのかと考えたり

役割を果たせているだろうか

自分のしたいことはなんなんだろうかと

考えて前が見えなくなったりもする。



利用者の大切な作業が再び行えるような支援ができなくて

勉強不足、質の悪さをつきつけられる現実がある。

自分の仕事のできなさ、連携不足に悩む事もある。

自分に自信がなくて、作業療法士として色んな方の人生に触れているのが怖くなることもある。

でもそんな時に、支えてくれる職場の人達や、勉強会・学会で出逢った仲間の存在が今はある。


時には立ち止まり、後ろを振り返る。

立ち止まったことは決して悪い事じゃない。



今おかれてる状況に感謝して一歩前にすすむための大事な休憩時間。

立ち止まることで気付く事がたくさんある。

支えてくれる人達に感謝して

不器用なりにも歩んで行こう

利用者の過去・現在・未来を大切な作業で紡ぐ支援を、利用者、家族、チームと一緒にやっていこう



踊り&三味線の事例を通して感じた「作業療法って楽しい♪」の大切な気持ちを胸に、自分らしく、ありのままで向き合っていこう

どんな作業の花が咲くのかな

その人らしさが詰まった素敵な花が咲きますように







2014年10月4日土曜日

ふれあいランチルームに参加して

先月、私の母校である小学校に行ってきました。

そこでは「ふれあいランチルーム」といって、小学生と一緒に学校給食を食べて交流することができます。


             



全員で11人の小学校4年生のみなさんと担任の先生、保護者の方、弓浜絣を織っておられる方、祖母と一緒に給食をいただきました。




全校生徒が少なくなってきてはいるけれど、このような取り組みをして、色んな方と触れ合うことができる仕組みづくりは、とても興味深いなと思いました。

また、地域の伝統工芸である弓浜絣の綿を栽培するところから学んでいたりと、私が小学生の頃には学べなかったものまで吸収できる環境作りをされていて、とっても良いな♪と思いました。


          


給食を食べ終わると、4年生の女の子さん達が一緒に遊ぼうと誘ってくれました。

どんなことが得意?好き?と聴かれ、私は「絵を描くのが好きだよ♪」と言いました。

すると、私に絵を描いてほしいと何人もの生徒さんが自由帳をもってきました。




手首が痛くなるほど、アナとエルサを描きました…(笑)

見た事もない妖怪ウォッチのキャラクターもリクエストがあり、消しゴムについている絵を見ながら描きました(笑)


私は昔から絵を描くのが大好きで、美術の先生になるのが夢でした。3歳くらいの時は祖父母の喫茶店に来るお客さんの似顔絵を描いて遊んでいたそうです。

見たものをそのまま絵にすることはできるけど、オリジナルのキャラクターを考えて描いたりすることは苦手でした。

なので、自分で考えて描ける人は凄い!ただ見たものを描くだけなら誰にでもできるから、特別凄いことではない…と思っていました。

しかし、今回4年生の生徒さんに「凄い!私も描けるようになりたい」と声をたくさんかけてもらい、見たものをそのままにしか描けない私でもいいんだ!と想い、嬉しかったです。


みなさんと給食を食べて触れ合うことだけが目的だったはずが、気付いたら私の大好きな絵を描くという作業を通して、元気をもらっていました。

「あ!私、子ども達に作業療法してもらってる(笑)」と心の中で思いました。





思い返せば、私が絵や物作りが大好きになったのは、小学校の時の図工の先生との出逢いがきっかけでした。

私は他の子に比べて完成するのにとても時間がかかってしまうタイプだったらしいのですが、「絵が上手い人はいくらでもいる。だけど、最後まで粘り強くあきらめずに取り組んでいれば、それが絵に現れる。そこがお前の良いところだ」と懇談の時に言われたことを思い出しました。


小学生はとても純粋でキラキラしています。

先生との出逢い、自分が熱中できる作業との出逢い、色んな出逢いが待っている環境である小学校。

小学校にいて生徒さん達と関わっていると、普段老人保健施設の利用者さんと関わる時とはまた違ったワクワク感が溢れてきました。

母校に恩返しができるようにもっと地域に関わって行きたい。

それが作業療法士としてか、一人の境港人としてか、まだ未来のことはわからないけれど…。

母校とこうして繋がりがもてたのも何かの縁。

この繋がり・ご縁を大切にして、これからの日々を過ごしていきたいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




2014年4月8日火曜日

第1回日本臨床作業療法学術大会を終えて


熱かったあの3月22~23日から約2週間。


私は要領が悪いので、一つのことに取りかかるのに時間がかかります…


めまぐるしく一日一日が過ぎ、やっと落ち着いてBlogをかきます。







口述発表、ポスター発表、講演


どれも自分の心に響くものばかりで、後輩と参加して本当によかったなと思いました。





私は初日の口述発表トップバッターでした。




発表ギリギリになって、ようやく自分の本当に伝えたい事がまとまり、発表するやいなや号泣するというハプニングもありましたが…(笑)


会場のみなさんの暖かい雰囲気、感想などたくさんいただき、伝えることができて良かったと思いました。

抄録やスライド作成に協力してくださったT先生をはじめ、ちびっこOTさん、頭文字Oの2人、本当にありがとうございました!!




私の発表であった左片麻痺の利用者さんのポンポン作り。


これをみんなのリハプランをみて、実際に利用者さんに提供し、大切な作業への関わりを発表したポスターを目にした時は、とても嬉しかったです。

私の母校の後輩で、とても精力的に取り組んでいるO君。
みんリハをみてくれてありがとう。



大切な作業が繋がるみんなのリハプラン


みんなのリハプランは作業療法のクックパッド版だと@tomoriさんがいっておられたので、今回の学会に参加された作業療法士さん達が1人1つ投稿するだけでも、ハッピーの種が蒔けるのにな〜♪蒔いてほしいな〜w


最後に、学会後、嬉しいmailがある老健の作業療法士さんから届きました。


『鬼木さん、ありがとう。心に響くあの発表は想いがたくさんこめられていました。すてきな臨床を展開してるんだなぁとつくづく。鬼木さんはまさに「種まきOT」として全国のOTに種を蒔いています。私も鬼木インスパイヤの一人です。ありがとうの感謝の気持ちとこれからもどうぞよろしくちゃん』


最後のよろしくちゃんがこの方らしいなっ♪と思いましたw

この作業療法士さんは、老健でとーーーっても悩み、苦労された方です。初めてこの方にお会いしたときは、話を聞いていてとても辛そうでした。

なんとかこの方が一歩ずつ良い方向にすすんだらいいな〜とteam老健のメンバーはみんな願ってました。

そして、今回この方はポスター発表をされ、表情は初めに出逢ったころと違ってハツラツとしていました!!凄く笑顔が素敵な方なんです。

心から良かった♪と思いました。


老健で悩んでる作業療法士の方はけっこうおられます。
Twitterをしていて、感じる事もあります。

今回学会に参加してみて感じたのは、私のTwitterをけっこう見て下さっている方が意外にいるということwww

「いつも鬼木さんのTwitterをみて癒されてます!元気もらってます!」というお声を何人もの方にかけていただきました。

なかでも、学生さんから声をかけてくださることもあり、とーーーっても嬉しかったです。

しょーもないこともつぶやきますが、このように誰かの役に立ててるってことが分かると、嬉しいです!!

反応があると頑張れますw
なので、これからも声かけてくださいw

あ、興味のある方はTwitterフォローしてくださいw


ある意味伝説となったローのタオルw


言いたい事が山ほどありすぎて、小分けにして書けばいいものを詰め込んでしまい、すみません…。

要点をしぼって伝えることを今年の目標としますw


大切な仲間との繋がりを大事に



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。