2014年4月25日金曜日

時をつむぐ大切な作業




デイケア短時間利用のAさん。




筋肉が徐々に萎縮していき、家の中での移動が行いづらくなり、約1年前にデイケア利用開始となる。


約10年前に脳梗塞発症以来、リハビリテーションは受けてこず、デイケア等の利用も一切なし。



デイケア開始時にADOCを用いた面接実施。


まず初めに、日常生活動作や趣味などのイラストをみていただきながら、作業療法の説明を行った。


生まれ育った環境や仕事、趣味などについて聴いていき、やってみたいこと・家族から期待されていることなどを聴く。


Aさん

「仕事後に鮎釣りにいくほどの釣り好きだった。

もう一度大好きな釣りをしてみたい。

盆栽も趣味でしていたから、盆栽がしたい。

ギターも勤めているときにしていたから弾いてみたい。

一番は釣りだな」



奥さん

「主人がいっていることなんかよりも、家で今よりも楽に歩けるようにしてくださればそれで十分です。

釣りだなんて、そんなことしなくてもいいです。」



Aさんと奥さんの間に希望のズレが生じていた。


Aさんは上記以外にもダンスや抹茶も習っていたほどの趣味人。


奥さんも昔のAさんの話をする時は照れながらもイキイキと語り始めていた。


しかし、奥さんの言動からは、リハビリテーション=筋力向上、歩行能力向上というイメージがついているなかで、まさか主人が釣りがしたいだのといい、そんな夢のようなことをリハビリテーションでやってもらえるはずがない、主人が作業療法士に対して無茶なことをいって迷惑をかけている…等と感じている様子だった。



家屋評価に行った際、担当ケアマネージャーにADOCをみせながら大切な作業の説明。


チームで目標を共有。


釣りができるようになることをケアプランにいれて下さる。


そして、Aさんの大切な作業である釣りができるようになること、奥様の希望である歩行状態の改善にむけて介入を開始。


実際に釣り竿をもってもらい、座位バランス練習や針つけなどを実施。


リハビリテーション中の夫をみて、奥さんは「普通の運動では顔がうつむいてるのに、この釣りの練習の時だけはイキイキしてますね。全然表情が違う。やっぱり好きなことをしていると違うんですね。」と照れながら話をされた。


そして、3人の作業療法士の釣りがしたいデイケア・入所の担当利用者と介護福祉士、看護師などチームで関わり、施設近郊の漁港で釣りを実施。


約10年ぶりの釣り。




魚がたくさん釣れ、夫婦共に大喜び




これをきっかけにAさんのやりたいことができるように率先して奥さんが動いてくださるようになった。


盆栽を行う際は、ホームセンターから必要な物品を購入して持参され、リハビリテーション時に夫婦で取り組んでもらった。


ギターを弾く練習の際には、奥さんが家からギターを持参。


麻痺手を使用し、いきなり沖縄民謡を弾いたAさん


作業療法士はAさんの大切な作業ができる環境を提供することや身体機能面の維持・向上を図る関わりを行った。
奥さんはAさんの大切な作業の支援者として主体的に動かれた。



そして、約1年が経過し、Aさんは以前習っていた抹茶をたてて飲みたいと言われた。


抹茶を飲むと心が静まる。

花を見ながら飲むと優雅な気持ちになって最高。

病気をして以来、抹茶をたてたことがない。

大好きな奥さんに抹茶をたてて飲ましてあげたい。

夫婦で優雅な時間を過ごしたい。


初めて自分のためだけでなく、奥さんのためにも行いたいといった大切な作業である抹茶。


Aさんの思いを奥さんに伝えると、次回のリハビリテーション時に抹茶の道具を持ってくると奥さんは言った。


そして当日。


奥さんが「鬼木さんに言われた其の日に家に帰って抹茶をたてる練習をしたんです。
そしたら上手にできましたよ。ぜひうちの主人の抹茶を飲んでやってください」とイキイキとした表情で言われた。



家から持参した抹茶道具





麻痺手の左手でお椀を支え、右手で上手にお茶を立てるAさん。そばで見守る奥さん。





10年抹茶



花を愛でながら飲む事が大事



奥さんはお世話になっている職員にも自ら声をかけ、ご主人がたてる抹茶を飲んでいただき、喜んでおられた。





美味しいと喜ぶリハ主任





病気をしても、やりたいことができる!という楽しみを感じ、生活にハリがでてきたAさん。


主人は何もできないと思い込んでいたが、実際には釣りや盆栽など、できることがいっぱいあり、好きなことをしていると表情が全然違う!と認識した奥さん。



そして夫婦が共に歩み、初めて主体的に家で実際に取り組んだ抹茶。



嬉しい事に、単なる1度きりのイベントに終わらず、これを機に毎日抹茶をたてる習慣ができ、約10年ぶりに夫婦で優雅な時間を味わえている日々が続いていると嬉しそうに語るAさん。




時をつむぐ関わり。




素敵なご夫婦との出逢いからたくさんの事を学べることに感謝。





夫婦をそっと陰で支える黒子にちょっとはなれているかな、なっていたらいいな。





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。






2014年4月8日火曜日

第1回日本臨床作業療法学術大会を終えて


熱かったあの3月22~23日から約2週間。


私は要領が悪いので、一つのことに取りかかるのに時間がかかります…


めまぐるしく一日一日が過ぎ、やっと落ち着いてBlogをかきます。







口述発表、ポスター発表、講演


どれも自分の心に響くものばかりで、後輩と参加して本当によかったなと思いました。





私は初日の口述発表トップバッターでした。




発表ギリギリになって、ようやく自分の本当に伝えたい事がまとまり、発表するやいなや号泣するというハプニングもありましたが…(笑)


会場のみなさんの暖かい雰囲気、感想などたくさんいただき、伝えることができて良かったと思いました。

抄録やスライド作成に協力してくださったT先生をはじめ、ちびっこOTさん、頭文字Oの2人、本当にありがとうございました!!




私の発表であった左片麻痺の利用者さんのポンポン作り。


これをみんなのリハプランをみて、実際に利用者さんに提供し、大切な作業への関わりを発表したポスターを目にした時は、とても嬉しかったです。

私の母校の後輩で、とても精力的に取り組んでいるO君。
みんリハをみてくれてありがとう。



大切な作業が繋がるみんなのリハプラン


みんなのリハプランは作業療法のクックパッド版だと@tomoriさんがいっておられたので、今回の学会に参加された作業療法士さん達が1人1つ投稿するだけでも、ハッピーの種が蒔けるのにな〜♪蒔いてほしいな〜w


最後に、学会後、嬉しいmailがある老健の作業療法士さんから届きました。


『鬼木さん、ありがとう。心に響くあの発表は想いがたくさんこめられていました。すてきな臨床を展開してるんだなぁとつくづく。鬼木さんはまさに「種まきOT」として全国のOTに種を蒔いています。私も鬼木インスパイヤの一人です。ありがとうの感謝の気持ちとこれからもどうぞよろしくちゃん』


最後のよろしくちゃんがこの方らしいなっ♪と思いましたw

この作業療法士さんは、老健でとーーーっても悩み、苦労された方です。初めてこの方にお会いしたときは、話を聞いていてとても辛そうでした。

なんとかこの方が一歩ずつ良い方向にすすんだらいいな〜とteam老健のメンバーはみんな願ってました。

そして、今回この方はポスター発表をされ、表情は初めに出逢ったころと違ってハツラツとしていました!!凄く笑顔が素敵な方なんです。

心から良かった♪と思いました。


老健で悩んでる作業療法士の方はけっこうおられます。
Twitterをしていて、感じる事もあります。

今回学会に参加してみて感じたのは、私のTwitterをけっこう見て下さっている方が意外にいるということwww

「いつも鬼木さんのTwitterをみて癒されてます!元気もらってます!」というお声を何人もの方にかけていただきました。

なかでも、学生さんから声をかけてくださることもあり、とーーーっても嬉しかったです。

しょーもないこともつぶやきますが、このように誰かの役に立ててるってことが分かると、嬉しいです!!

反応があると頑張れますw
なので、これからも声かけてくださいw

あ、興味のある方はTwitterフォローしてくださいw


ある意味伝説となったローのタオルw


言いたい事が山ほどありすぎて、小分けにして書けばいいものを詰め込んでしまい、すみません…。

要点をしぼって伝えることを今年の目標としますw


大切な仲間との繋がりを大事に



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。